この記事は「パニガーレV4とV4Sの違い」を最短で腹落ちさせたい人向け。
結論から言うと、V4とV4Sの差は“足まわり(電子制御サス)とホイール(鍛造)”です。しかもこの差は、スペック表の数字を眺めるより先に、「曲がり方の質」と「走りの再現性」として出ます。
だからこの記事では、まず比較表で違いを一瞬で整理したうえで、電子制御サスと鍛造ホイールが公道(街・峠)やサーキットでどう体感に変わるかを、できるだけ噛み砕いて説明します。
さらに「ツーリングできる?(燃費・航続距離の現実)」や「V4S中古で外さない見方」、そして「V4Rは別枠」という立ち位置まで、迷いが残りやすいポイントもまとめて回収します。
※本記事の装備・数値は、原則としてMY25(第7世代)の公式情報ベースで整理しています。ただしパニガーレV4は年式(世代)で装備や仕様が変わるため、購入前は必ず年式(MY)と仕様を確認してください。
V4とV4Sの違いは「足まわり&バネ下」。迷ったらこの基準でOK

V4で満足しやすいのは、基本は公道(街〜峠)でサーキットは“たまに”くらい、価格を抑えつつV4の世界に入りたい人です。逆に言うと、V4の差額ぶんでタイヤや装備、メンテにしっかりお金を回せる人は、満足度が伸びやすい。
V4Sを選ぶべきなのは、峠・サーキット比率が高い、または「同じ道でも毎回気持ちよく走れる再現性」が欲しくて足まわりに妥協したくない人。路面が荒れていたり、気温やタイヤの状態が変わっても“破綻しにくい走り”に寄せたい人ほど、V4Sが効いてきます。
迷ったら、まずこの3つで判断すると早いです。
- 走る場所は「街メイン」か「峠メイン」か(峠比率が上がるほどV4S有利)
- 走り方は「流す」か「ペースを上げる」か(ブレーキング〜旋回が増えるほどV4S有利)
- セッティングは「触るのが好き」か「任せたい」か(“再現性重視”ならV4Sが楽)
価格差は小さくありません。MY25のメーカー希望小売価格(税込)は、V4が3,239,000円、V4Sが4,141,000円(差902,000円)です。
新型ドゥカティ・パニガーレV4、2025年1月11日より販売開始(Ducati Japan)
ただ、この差を「3年でならす」と、902,000円 ÷ 36か月で月あたり約2.5万円。高い買い物なのは間違いないけど、走るたびに“足まわりの気持ちよさ”を回収できるタイプの人なら、意外と納得しやすいレンジでもあります。
そして価格差の大半は、①オーリンズ電子制御サス(SmartEC 3.0)と、②鍛造ホイールで説明がつきます。ここが腹落ちすると、「V4で十分」なのか「V4Sにするべき」なのか、迷いがかなり消えます。
【比較表】パニガーレV4 vs V4S 違い一覧

まずは“違いだけ”を最短で。
…と言いつつ、ここで一つだけ先に言うと、この表は「どっちが速いか」を決める表ではありません。 決めたいのは、あなたにとっての「満足度が上がる差」がどれか。
- 「足まわりの質」にお金を払うと幸せになれるタイプか
- 「差額をタイヤや装備に回すほうが楽しい」タイプか
この見極めのために、まず装備差をフラットに並べます。
| 項目 | パニガーレ V4 | パニガーレ V4S | 違いの要点 |
|---|---|---|---|
| 価格(日本・税込) | 3,239,000円 | 4,141,000円 | 差:902,000円(MY25) |
| フロントサス | 機械式(マニュアル) | Öhlins 電子制御(SmartEC 3.0) | ブレーキング〜旋回の姿勢が整いやすく、再現性が上がる |
| リアサス | 機械式 | Öhlins 電子制御(SmartEC 3.0) | 同上(加速での落ち着き、ギャップで破綻しにくい) |
| ステアリングダンパー | 機械式 | Öhlins 電子制御 | 高速域のフラつき抑制=安心感の底上げ |
| ホイール | 鋳造アルミ | 鍛造アルミ | 軽量化2.17kg/慣性低減(切り返し・寝かし込みが軽く感じやすい) |
| バッテリー | 通常 | リチウム | 軽量化の積み上げ(体感は小さめでも“効く方向”) |
| Wet weight no fuel(燃料なし) | 191kg | 187kg | 差:4kg(公式テックデータ) |
| タンク容量 | 17L | 17L | 航続は同条件(公式テックデータ) |
「この表、数字は分かったけど結局どう読むの?」となる人向けに、上の表を“体感の言葉”に翻訳するとこうなります。
| あなたの状況 | V4Sの差が出やすいポイント | 逆にV4でも満足しやすいポイント |
| 峠でペースが上がる/路面が荒れがち | 電子制御サスが姿勢を整えやすく、ラインが乱れにくい | セッティングが決まれば十分気持ちいい。差額をタイヤに回せる |
| 連続コーナーが多い道をよく走る | 鍛造ホイールで切り返しが軽く感じやすい | 鋳造でも走れないわけじゃない。自分のペースなら十分 |
| サーキット走行会で「安定して上達したい」 | 再現性が上がり、フォーム改善に集中しやすい | “まず走る”段階ならV4でも学べる。回数を増やせる |
| 街乗り多め/渋滞も多い | 走りの差より他要素(熱・姿勢)の影響が大きい | 価格差を整備・装備に回すほうが満足度が上がりやすい |
パニガーレ V4 / V4 S テクニカルスペック(Ducati公式)
次の章から、この差が「どう体感に出るか」を噛み砕いていきます。
違い①足まわり|V4Sはオーリンズ電子制御。V4は機械式。

「電子制御サスって、結局なにが嬉しいの?」
ここをスッキリさせると、V4Sが高い理由が一気に理解できます。
結論から言うと、電子制御サスの価値は“便利機能”じゃなくて、走りの土台が崩れにくくなること。特にパニガーレV4みたいに、加速もブレーキもコーナーも濃いバイクだと、足まわりの差がそのまま「安心感の差」になりやすいです。
電子制御サスの“本当のメリット”は、快適性より「姿勢の安定」と「再現性」
公道での電子制御サスの価値は、ふわふわ快適になることより、姿勢が整う方向に出ます。
たとえばブレーキング。機械式サスは「このセッティングで全部の状況に合う」みたいな魔法がないので、強めに握る日・路面が荒れてる日・タイヤが冷えてる日…で、沈み方が微妙に変わります。すると、同じコーナーでも“入り口の安心感”が毎回ズレる。
V4Sはそこが強い。状況の変化に対して、減衰を“寄せる”ことで、
- ブレーキングでフロントが沈む量が一定になりやすい
- 旋回中にバンクが落ち着いて、ラインが安定しやすい
- 荒れた路面でギャップを踏んでも、挙動が破綻しにくい
こういう“姿勢の整い方”に出ます。
さらに公道で分かりやすいのは、次の3シーン。
- 減速→ターンインの一瞬:フロントが落ち着いて「入っていける」感が出やすい
- 旋回中の微修正:ラインが外れそうなときに、余裕が残りやすい
- 立ち上がりの加速:リアが暴れにくく、安心して開けられる
つまり、同じ峠を走っても、
- V4:今日は気持ちいい、でも別の日は少し落ち着かない
- V4S:いつ走っても「だいたい同じ気持ちよさ」に寄せられる
この差が出やすい。
「今日は路面が荒れてるから安全運転」みたいな日ほど、V4Sは“気持ちよさ”じゃなくて怖さが減る方向に効きます。これが、地味だけど強烈。
パニガーレ V4 / V4 S テクニカルスペック(Ducati公式)
V4(機械式)が悪い?→全然そんなことはない
誤解されがちだけど、V4の足まわりがダメという話じゃありません。 V4はV4で、セッティングが決まると気持ちいい。
むしろ「自分で触って詰めるのが好き」なら、機械式は分かりやすいメリットがあります。決めたセッティングが、ずっと同じ顔をしてくれるので、自分の体の使い方の変化も掴みやすい。
ただ、現実は次の要素が必ずブレを作ります。
- 路面状況が変わる
- 気温・タイヤ・ペースが変わる
こういう“現実のブレ”に対して、V4Sのほうが対応の幅が広い。 ここが価格差の中心です。
違い②ホイール|V4Sの鍛造ホイールは「軽い」より“曲がり方”が変わる

V4Sの鍛造ホイールは、単に軽いだけじゃなく、回転体の慣性が小さくなるのがポイントです。
ここ、体感のコツがあります。車体重量が2kg軽いより、回っているもの(ホイール)が軽いほうが「向きを変える瞬間」が分かりやすい。だから“高級サスより先にホイールの差を感じた”という人が出てくる。
その結果、公道で体感しやすいのはこのあたり。
- 切り返しが軽い(S字や連続コーナーで疲れ方が変わる)
- 寝かし込みが素直(「よいしょ」で倒す感じが減る)
- 旋回中にライン変更がしやすい(微修正がラク)
もう少しだけ具体的に言うと、「倒し始めが軽い」だけじゃなく、倒したあとに“戻したい”ときも軽い。これが公道でかなり効きます。対向車が来た、路面に砂があった、想定よりコーナーがきつかった…みたいな場面で、余裕が残る。
ツーリングでも恩恵はあります。疲れが溜まってきた午後に、切り返しが重いとフォームが雑になりがちだけど、鍛造ホイールはそこを助けてくれる。速く走るためだけじゃなく、“最後まで気持ちよく帰る”ための差でもあります。
サーキットだとさらに分かりやすい。 タイムがどうこう以前に、1周ごとの挙動が揃ってくるので、ペースを上げやすい。
違い③重量とバッテリー|V4Sは“数字でも”軽い。ただし誤解しやすい

MY25の公表値(燃料なし)で、
- V4:191kg
- V4S:187kg
差は4kg。
4kgと聞くと「そんなに変わらない?」と思うかもしれません。 ただ、この4kgは“ただの4kg”じゃなく、ホイールやバッテリーなど効く場所に寄った軽量化が混ざります。ここがポイント。
もう一つ押さえたいのは、どちらも燃料を入れれば重くなること。満タンの状態では当然もっと重い。でもV4とV4Sはタンク容量が同じなので、「燃料で差が開く」という話ではありません。差が出るのは、あくまで走りの質に直結するところの軽さです。
- ただの車体重量差:体感は薄いこともある
- 回転体(ホイール)と足まわりの質が上がる差:曲がり方が変わる
街乗り・峠・サーキット・ツーリングで“正解”は変わる

ここが一番大事。 スペックや装備差を見ても、最終的に後悔するかどうかは使い方で決まります。
言い換えると、V4とV4Sは「性能の上下」で選ぶというより、あなたの走り方に“気持ちよさの芯”が合うほうを選ぶのが正解。
街での満足、峠での満足、サーキットでの満足、ツーリングでの満足──それぞれ評価ポイントが違うので、ここでいったん自分の使い方に当てはめてみてください。
街乗り多め:V4でも満足しやすい
街乗りで効くのは、タイムよりも「扱いやすさ」と「疲れにくさ」。特にパニガーレV4は、低速域や渋滞で“濃さ”が出やすいので、街メインならここを現実的に見ておくと後悔しにくいです。
街乗りの満足度を左右しやすいのは、だいたいこのあたり。
- 取り回し
- 低速のギクシャク感
- 熱
- 姿勢のキツさ
そしてここが大事なんだけど、街では電子制御サスの差よりも、熱・姿勢・低速の気持ちよさの影響が大きいことが多い。V4Sの足まわりが助けになる場面はあるものの、街乗りの“しんどさ”の主因は別のところに来やすいです。
だからこそ、「街7:峠3」くらいならV4でも満足しやすい。差額を、たとえば装備(ウェア・グローブ)やタイヤ、点検に回せるほうが結果的に幸せ、という人も多いです。
峠メイン:V4Sの価値が出やすい
峠は、バイクの“良さ”が一番出る反面、路面が一定じゃない。ギャップもあるし、路面温度も変わる。ペースを上げなくても、路面のコンディションが変わるだけで挙動の印象は変わります。
この“現実のブレ”の中で、
- フロントの入りが一定
- 切り返しが軽い
- 旋回中の修正がラク
こういう差が積み重なるのがV4S。
特に峠で効くのは、速さよりも「怖さが減る」方向。ターンインでフロントが落ち着くと、ブレーキを残す場面でも体が固まりにくい。切り返しが軽くなると、連続コーナーでフォームが崩れにくい。こういう“地味な良さ”が、結果的に峠の満足度を底上げします。
サーキット:走行会に行くならV4Sが「上達の近道」になりやすい
サーキットは路面が整ってるから機械式でも走れます。
それでもV4Sが効くのは、
- セットアップの迷子になりにくい
- 走りの再現性が上がって、フォーム改善に集中できる
こういう“学習コスト”の部分。
走行会って、速さより先に「一日を安全に、気持ちよく回せるか」が大事。セッティングに迷っている時間はそれだけで疲れるし、走りのフィーリングが毎回ズレると改善点が見えにくい。V4Sはその“ムダ”を減らしやすいので、結果として上達が速く感じる人がいます。
もちろん、V4でも十分楽しめます。サーキットの回数を増やしたいタイプなら、差額を走行費やタイヤに回すのも合理的。ここは本当に“あなたの楽しみ方”次第です。
ツーリング:できる。ただし「燃費・航続・熱・荷物」の現実は押さえる
パニガーレV4でツーリングはできます。 できますが、快適ツアラーとして考えるとギャップが出ます。
- 休憩頻度は高めになりがち
- 夏場の熱は対策必須
- 荷物は工夫が必要
この現実を理解したうえで「それでも最高」と思える人は、最高の相棒になります。
ツーリングで後悔を減らすコツは、バイク側を“無理にツアラー化”するというより、旅の組み立てをパニガーレ寄りに寄せること。渋滞を避けるルート、こまめに休める道、給油ポイントが読みやすい道を選ぶだけで、同じ距離でも疲れ方が変わります。
パニガーレV4の燃費と航続距離|「ツーリングできる?」に正面から答える

結論から言うと、ツーリングは「できる」。
ただし、燃費は走り方で簡単に変わるので、航続距離は“固定値”として考えないほうが安全です。早め給油の習慣と、渋滞を避けるルートが、満足度に直結します。
タンク容量は17L。航続距離は“燃費しだい”で大きくブレる
タンクが17Lなので、単純計算なら
- 平均燃費が15km/Lなら:255km
- 平均燃費が12km/Lなら:204km
みたいに変わります。
ただし、実走の燃費は
- 走り方(回すかどうか)
- 渋滞
- 気温
- 風
で簡単に落ちます。
ツーリング運用なら「早め給油が正義」。これは脅しじゃなくて、精神衛生の話です。ガソリン残量が気になり始めると、それだけで走りが雑になるし、休憩も楽しめなくなる。余裕があるうちに給油しておくほうが、結果的に気持ちよく走れます。
ツーリングの現実:航続より“休憩のリズム”がカギ
パニガーレV4は、走ってる時間が濃い。
だからこそ、
- 休憩の取り方
- 服装(熱対策)
- ルート(渋滞回避)
ここが満足度を決めます。
もう少し具体的に言うと、ツーリングの満足度は「距離」よりも「一日の波」で決まります。 午前中は最高なのに、午後に疲れて雑になる──これが一番もったいない。
こまめに休憩を挟んで体をリセットしつつ、暑い時期は熱が溜まりにくい時間帯を選ぶ。渋滞に突っ込まない。これだけで、同じV4でも“ツーリング向き”になります。
V4Rは別枠|気になる人が知っておくべき立ち位置だけ

V4Rは、V4/V4Sと同じ土俵で迷うモデルではありません。
目的が「サーキット寄り」に振り切っている別枠です。
V4Sで「峠もサーキットも最高」を狙うのに対して、V4Rはもっと尖った方向。公道での快適さや扱いやすさよりも、サーキットでの目的を優先しているので、比較の入口がそもそも違います。
なので、
- 公道メインで迷っている人:まずV4かV4Sを決める
- サーキット特化で考えている人:V4Rを別枠で検討
この切り分けでOK。
迷ったら「足まわりにお金を払うか」で決める

最後に、もう一度だけ結論をきっぱり。
- V4とV4Sの違いは“足まわり(電子制御サス)と鍛造ホイール”
- 価格差は約90万円。差の大半は装備で説明できる
- 峠・サーキット比率が高いほど、V4Sの満足度が上がりやすい
- ツーリングはできるが、燃費・航続・熱・荷物の現実は押さえる
- 中古は「年式・仕様」「足まわり」「記録と店」で勝負が決まる
最後に一言だけ。 V4Sは「高いから正解」じゃなくて、あなたの走り方にハマったときに“値段以上の満足”が返ってくるバイクです。
逆に、街乗り中心で“しんどさ”の要因が別にあるなら、V4で装備とメンテに予算を回すほうが幸せなこともある。
ちなみに「V4の熱やパワーが不安」「扱いやすさ寄りで迷う」なら、パニガーレV4とV2の違い(別記事)も合わせて見ると判断が速いです。

